60代夫婦、平屋への建替えです。子供たちが独立した後の大きすぎる築34年の2階屋をもたあましていました。新しい家は小さな平屋にし、老後の暮らしを考えたいとのご希望。南から見ると中庭を囲むように個室とLDKが配置されたしたコの字型です。
コの字型の家のいいところ
コの字型は、中庭に面している壁が三面になります。三方を壁で囲まれているため、プライベート感のある庭を眺める暮らしができます。自然光も家の奥まで差し込みやすく、明るいリビングになります。I様邸の南は実家の畑とのことでこの風景は当分変わらないそうですが、西側前方に新しい家々が建ってきていることを考慮しました。
浜松は冬の西風がたいへん強いため、このように建物で遮ることができれば、デッキを穏やかな日当たりの良い空間にできます(洗濯物も飛ばされにくくなります)。
和スペースのあるLDK
LDKに最低限必要な広さは12畳といわれており、多くは16〜20畳くらい。この広さを超えると広めのLDKということになりますが、予算やライフスタイルに合った自分たちの広さを見つけだすことが何より肝心です。広すぎて落ち着かないという可能性もあります。また、広いLDKにするために床面積だけを広くしようとするのではなく、天井の高低差等の空間構成を上手く考える方が、結果的に良い空間になることが多いです。
最近の客間を敢えてつくらない家では、どのようなシーンにも対応できるLDKにしておくことが大切です。来客の宿泊時や、ホームパーティー時にも十分に対応できる空間を想定する場合は、広さに余裕を持たさなければなりません。しかしながら、日常はコンパクトに暮らしたいという場合、仕切れる和スペースがおすすめです。
和スペースは建具で開閉できるようにしておきます。急な来客の場合でも、仕切ってしまえば、キッチンやリビングが見えませんから。
南北に風が通る明るいダイニングキッチン
コの字のくぼんだ部分になるダイニングキッチンは、東から朝日がたっぷりと入ります。以前の家は西キッチンだったために朝は暗く夕方の西日の強さに悩まされたそう。奥様のたっての希望もあり、夏の朝は眩しいくらいの陽射しが入る位置になりました。真夏は少し日除けができると良いでしょう。
いりまさクローゼットの定番です。大きな2枚引き戸は軽い吊り戸。一度に中がたくさん見やすいです。
廊下の先は寝室ですが、部屋の引き戸(吊り戸)を開けておくと、突き当りの窓から視線が抜けます。床の貼り方向からも廊下が長く見えます。
水廻りの位置関係
正面の洗面室から入って、右手が脱衣室&バス、左手がトイレというう並びです。それぞれの引き戸を開放すると、3つが1つの空間になります。一つ一つは小さなスペースです。引き戸はこういう時に邪魔になりません。
玄関ホール
すっきり片付く玄関収納を造作しています。収納の下部を開けているのは、狭さ解消のため(土間面が広く見える効果あり。靴置き場にもできます)。収納棚を低めにすると天板が飾り棚になり、空間を広く見せてくれます。収納量重視の場合は天井までの収納をおすすめします。
収納棚は可動式。傘を掛けるポールも付いています。少しの水分なら土間に落ちても〇。土間は汚れたら水洗いできますが、傘は乾かしてから収納しましょう。底板は不要なのでありません。
造作家具集
①コンパクト洗面室・・・実験用シンクに必要な収納棚を隙間なくきっちり造作。狭くても片付く!
②シンク前の手元隠し・・・メーカーキッチンI型を対面式に仕立てる。立ち上がりの向こうはカウンターになっています。
③稼働する棚板・・・棚の奥行き、高さ自由。後に棚板だけの追加もOK。
④壁面飾り棚・・・壁の凸凹は活かして棚・飾りスペースに!
⑤分別ごみ箱スペース・・・場所をとるゴミ箱スペース。シンク下や背面収納内に計画しましょう!
⑥引き込み建具4枚・・・必要な時だけ出して仕切る。引き込めば無かったことに。
ガルバリウムと塗り壁のツートンの平屋。中は木の家です。北側外観。