気温が下がって、秋晴れがつづく季節になりました。
のどかな地区で、リノベーションのお仕事させていただいています。
外壁を解体し、外断熱工法によって温熱改修をしています。
完成したら、見えなくなる部分ですが、大切な部分。
暮らしをつくろう。大切な人との時間を豊かに。
4代目の新野恵一(にいのけいいち)です。
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大工さんが、壁の下地をしています。
このお宅は、竹小舞土塗壁。
壁の中に、断熱材を施工するのが難しい物件です。
竹小舞土塗壁は、今は職人が少なく、ほとんど施工されていない日本の伝統的な壁です。
竹小舞土塗壁は、2つのメリットがあります。
①竹のしなやかさによる、柔軟性。
竹は強靭でありながらしなやかに曲がる性質を持つため、地震の揺れにも柔軟に対応することができます。
竹で編まれた「小舞(こまい)」に土を塗り込むことで、壁全体が一体となり、剛性と柔軟性がバランスよく保たれます。
②高い調湿性
竹小舞土塗壁は土が主成分のため、高い調湿性を持っています。
土壁は周囲の湿度に応じて水分を吸収したり放出したりする性質があり、湿度が高い時には壁が水分を吸収し、乾燥している時には放出することで、室内の湿度を快適に保ってくれます。
竹小舞土塗壁をとって、壁の中に断熱材を入れることもできますが、
地震時の柔軟な構造と、優れた調湿性を捨てることになります。
柔軟性と調湿性をそのままに、温熱改修をしようとすると、外断熱工法が良い方法。
ネオマフォームというパネル状の断熱材を、外壁下地の外側に張り付けていきます。
内部の竹小舞土塗壁は、いじっていないため、調湿性も柔軟性も落ちることはありません。
日本の優れた技術と、現代の技術が合わさって、調湿性も確保しながら断熱性も高める最高の壁下地が完成。
ここだけみれば、新築以上の性能を担保できるかもしれません。
土塗壁は、すべてが自然素材です。
昔は、素材が少なく情報も少なかったため、地元で調達できる素材で、家をつくっていました。
腐っても、土に帰る素材しかつかっていません。(竹、木、土)
今は、素材も多種多様で、情報も多い。
その中で、家づくりの素材を何にするのか。
今は、いいけど処分の時が、大変。
ということになりかねない。
性能を上げようとするのと同時に、処分のことを考えるのも大切ですね。