Nさんの家が、いよいよ上棟しました。
この家の構造材は、天竜ヒノキ。
N さんの「天竜材を使いたい」という強い想いを、いりまさらしくカタチにすることができました。

*上棟日の朝の状況。
暮らしをつくろう。大切な人との時間を豊かに。
4代目の新野恵一(にいのけいいち)です。
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この敷地は、古家とマキの生垣、そしてたくさんの植栽に囲まれた、自然とともに暮らすのがぴったりの環境です。
できるだけ既存の緑を残し、自然と馴染む家をつくること。これが計画のはじまりでした。
土間リビングという 外とつながる核
この家の中心になるのは、土間リビング。
靴のまんま出入りしてもいいし、庭で採れたものをそのまま持ち込んでも良い。動物と楽しく暮らすことも容易にできる。
外の空気と家の中がゆるやかにつながる、場所です。
大きな吹き抜けと一体になり、家の中なのに外にいるような、外にいるのに家に包まれているような、
そんな感覚を味わえる空間になります。
こうした 暮らし を望む方は、本当に多いと感じています。
その理想を、今回しっかり形にできそうです。

*設計の哲さんも、ホッとした表情。
在来工法を選んだ理由は「天竜材を使いたいから」
今回、いりまさは 在来工法 を選択しました。
一番の理由は明確で、天竜材を使いたかったから。
天竜材の多くは、製材や乾燥の方針から JAS 認定を取得していない材 が中心です。
品質や強度が劣るわけではなく、むしろ丁寧に扱われた素性の良い材ですが、
金物工法は原則、JAS 材しか使えない。
金物メーカーの強度計算の前提が「JAS」で統一されているためです。
金物工法で、天竜材は「絶対に使えない」わけではないけれど…
ここは誤解されやすい部分なので、正確に。
実際には、設計者の判断によって天竜材でも金物工法に使うこと自体は可能 です。
ただし、いりまさとしては
- メーカー仕様を守り、保証と安全性をわかりやすく担保する
という方針を大切にしています。
そのため、「使えるから使う」のではなく、メーカー仕様に従う。
この姿勢で家づくりをしています。
だから今回、天竜材の魅力を最大限に活かせる 「在来工法」を選びました。
四方差しの欠損をカバーするための 大黒柱
在来工法には在来工法の特徴があります。
梁を四方向から差し込む「四方差し」は美しいですが、柱への欠損がどうしても大きくなる。
そこで今回は、120mm幅の天竜ヒノキ を柱・桁に使用し、さらに中心には 大黒柱 (180mm×180mm)を据えています。
この大黒柱は、構造的な要であると同時に、完成後は 、空間の象徴 となる存在です。
見上げれば梁と組まれ、触れれば木の質感が伝わり、光が当たると、一本の木としての表情が浮かび上がる。
材料を用意してくれたフジイチさんのスタッフも、「この家見ながら白飯食えますね」と、ほれぼれしていました(笑)

*真ん中の柱は、大黒柱。
木組みが立ち上がる、この瞬間が美しい
上棟したばかりの今は、まだ壁も床もなく、木組みだけが立つ特別な時間 です。
同時に、建築物としての力を一番感じる瞬間でもあります。
まちの風景として、立ち上がる瞬間。

天竜ヒノキの香り、木肌の明るさ、そして柱と梁が整然と組まれていく姿は、
木の家の美しさそのもの。
これから断熱が入り、窓が入り、土間が整い、暮らしの場がゆっくりと形になっていきます。

最後は、雨養生をしっかりして終了です。
森とつながり、土間でくつろぎ、木の力に包まれる家。
完成がとても楽しみです。







