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こんな工房があるんだ…!大工とは違う“家具職人の世界”を見てきた

2025.05.19

先日、京都にある仲間の工務店「住暮楽(すみくら)」さんを訪ねてきました。

実はここ、工務店でありながら、自社で本格的な家具工房を構えているという、とても特徴的な存在です。

いわゆる造作家具の延長ではなく、専用の機械を備えた、家具職人のための工房
「工務店なのに、ここまでやるの?」と驚きつつ、その背景にある考え方や環境づくりを、実際に見て、感じてみたいと思い、今回の視察に至りました。

暮らしをつくろう。大切な人との時間を豊かに。

4代目の新野恵一(にいのけいいち)です。

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■ “働く人”のための工房

住暮楽さんの家具工房は、ドイツの家具工房マニュアルをベースに設計されているとのこと。
作業動線はコンパクトに整理され、道具の配置や材料の保管方法にも一貫したルールがあるようです。

なにより印象的だったのは、温熱環境。工房ですが、家レベルの断熱材を充填されています。

冬場に手がかじかんで作業ができない、夏に暑すぎて集中力が続かない。
そんなことが起きないように、一年を通して安定した室温と湿度が保たれているそうです。

そして写真の端には、薪ストーブの煙突も。

工房の一角に設置されたこの薪ストーブは、端材を燃料にした暖房装置。

大きなエアコンも完備されていて、一年中快適な環境で作業ができるように配慮されています。

■ 機械設備の充実ぶりに驚く

工房内には、ドイツ式のマニュアルにそって、プロ仕様の機械がずらりと並んでいました。

・スライディングテーブルソー(パネルソー):大きな板材も高精度で、カットできます。

ワイドベルトサンダー:表面を一気に平滑に仕上げ、精度の高い仕上がりに。

1300mm程度までなら、サンディングできる機械。こんなでかいサンダーは見たことがない・・・。

・プレス機:突板を接着する設備。板の表面に美しい木目をまとわせる加工が可能。

プレス機で製作されていたのは、突板仕上げの家具材
芯材には再生木材であるパーティクルボードを使い、表面に薄い天然木の板(突板)を貼ることで、
見た目は無垢材のように美しく、しかも資源効率のよい素材になります。

「無垢じゃないとダメ」という固定観念にとらわれず、
見た目と耐久性、コストと資源循環をバランスよく考えた材料選びに、納得感があります。

・粉塵の多い工房にとって、集塵機の存在は欠かせません。


住暮楽さんでは、大型の集塵設備が設置されており、
工房全体の空気がとても清潔に保たれていました。

こうした設備は目立ちませんが、職人の健康と安全を支える大切な基盤。

だからこそ、ものづくりの精度も自然と高まっていくのだと思います。

■ 塗装小屋まで完備

工房の外には、塗装専用の小屋も完備。


OSMOやKREIDEZEITなどの自然塗料が種類ごとに整然と並び、一つひとつの塗装工程が丁寧に行われている様子が伝わってきました。

塗装は家具の印象を左右する“最後の仕上げ”。
それを気候や埃を気にせず、しっかり仕上げられる専用空間があるというのは、やはり強みです。

■ 自然を感じながら働ける空間

そしてもうひとつ印象的だったのが、事務所のデスクから見える風景。

大きな窓越しに緑が広がり、空がひらけていて、
作業をしているスタッフさんの背中が、とても気持ちよさそうでした。

「どう働くか」「どこで働くか」そういう環境も、家具の質に、ちゃんとつながっていくんだと思います。

■ 見て感じること。

見て、感じて、考える。話で聞いているだけではわからない感覚があります。

職人育成の観点から、マニュアル化された工房がしっかりと成立していて、
そのうえで【働きやすい環境】として整える努力がある。
そこまでしてはじめて、人が集まり、技術が育ち、いいものが生まれるんだなぁと、しみじみ感じました。

住暮楽さん、ありがとうございました!

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