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「新築ではなくリノベ」を選んだ家族の話

2025.12.09

先日、お引渡ししたOさんからインタビューをとる機会がありました。
リノベーションを決意した経緯を聞いていくと、大切なことが浮かび上がってきました。


暮らしをつくろう。大切な人との時間を豊かに。

4代目の新野恵一(にいのけいいち)です。

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新築も真剣に検討していた

今回Oさんご夫婦は、奥さんの実家をリノベーションして住むことを決めました。
しかし、最初からありきで進めていたわけではありません。

Oさんご夫婦は、新築も真剣に検討していたのです。

新築の最大の魅力は、

まっさらな状態から、暮らしに合った建物をつくれること。

敷地に合わせて、

  • 配置
  • 光と風の取り込み
  • 動線と距離感
  • 庭とのつながり

をゼロから設計できます。
さらに、性能面も現在の基準を満たすことができます。

これが、新築の大きな魅力です。

それでもリノベーションを選んだ理由

ではなぜ、Oさんご夫婦はリノベーションを選択したのでしょうか。

「奥さんの記憶の中にある家を継承したい」

この想いが、一番大きかったといいます。

今この場所は住宅街になっていますが、建った当時は、この家1軒だけだったそうです。
外灯も1つしかなく、夜はこわかった、と笑って話してくれました。

この町の風景をつくりはじめた住宅。

リノベ前の写真です。奥に見える素敵な庭も、ご両親が大切にしてきた庭。

壊すことは簡単です。
でも、守ることは、実は難しい選択なのかもしれません。

家族が集まりやすい場所にしたかった

さらに、

「家族が集まれる場所にしたかった」

という想いもありました。

家族にとっても想い出深い大切な家。
外観が以前のまま保たれていると、新築した家より、戻ってきたくなる。

そんな不思議な感覚が、たしかにあるような気がします。

リノベーションは「理想の実現」だけではない

リノベーションは、単に自分の理想を形にするための工事ではありません。

  • まちの風景を守る
  • 想い出をつなぐ

それは、自分たちという枠を超えて、みんなにとって最適な選択なのかもしれません。
そして、それは数字では測れない価値です。

リノベ後も、庭を眺めながら、暮らせる豊かなリビング。

性能面もきちんと向上させています

もちろん、性能面でもしっかり手を入れています。

ほとんどスケルトンの状態にもっていくことで、
断熱や耐震性を改善しました。

木造住宅は年月が経つと、金物がゆるむことがあります。
スケルトンにすることで、構造上重要な金物を最大限補強できます。

断熱性能を高めつつも、この家の魅力である風通しの良さはそのまま活かしています。

性能を上げても、環境の心地よさは損なわない。

これが今回のリノベーションの大きなポイントです。

建築屋の本音

建築の仕事をしていると、

「今の新築は、昔に比べて性能が格段に上がっている」

ことを痛感します。

だからこそ、大きな資金があるなら、新築をおすすめするのが一般的です。

しかし同時に思います。

そこにある建物を、そのまま守っていくという視点も忘れてはいけない。

壊してゼロにすることは簡単ですが、受け継ぎ、更新し、未来へつなぐことには、別の価値があります。

損得ではない価値

Oさんご夫婦が選んだリノベーションは、
「損得で選んだ判断」ばかりではありません。

  • 思い出
  • 風景
  • 家族の時間

それらを大切にしたいという、価値の選択でした。

そしてそれは、新築よりも豊かな未来を生み出すことがあります。

ある人にとっては、新築よりリノベーションの方が価値がある。

それを改めて感じたプロジェクトでした。

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