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「一つの答え」を見に行く。富山「sun-kyo」という暮らし

2025.12.20

先日、富山県にある、「sun-kyo」というプロジェクトを見学してきました。



暮らしをつくろう。大切な人との時間を豊かに。

4代目の新野恵一(にいのけいいち)です。

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sun-kyo」は、分譲住宅のプロジェクトです。
前川建築さんがプロジェクトを行っています。見学させていただき、ありがとうございました。)


ただし、一般的にイメージされる分譲住宅とは、少し、、、いや、かなり違います。

一般的な分譲住宅では、敷地が一つ一つ明確に区切られ、フェンスや塀によって境界がはっきりと示されます。


けれど、「sun-kyo」では、その境界線がほとんど感じられません。

もちろん、法的な境界は存在しています。ただ、空間としては、すべてが一体となり、ゆるやかにつながっている。
一つの大きな庭のようでもあり、小さな集落のようでもあります。

敷地の中には、川のようなものが流れています。
これは、融雪水を流すための水路です。融雪の時期以外は水は流れておらず、玉石が姿を見せています。

その玉石も、外から持ち込んだものではなく、この土地から出てきたものだそうです。
外構で使われている材料の多くは、造成や建築の過程で現場から生まれたもの。
「用意する」のではなく、「そこにあるものを活かす」。その考え方が、空間全体に自然と表れています。

芝生が敷かれ、視線を遮る塀はほとんどありません。
それでも、不思議と落ち着きがあり、豊かさを感じる外構が広がっています。

建築設計は、「ぷらん・にじゅういち」の趙海彦さん。

スケルトン(構造)とインフィル(内部)を分けて考える設計手法は、aisuの家との親和性も高く、個人的にも共感する部分が多く素敵でした。

寝室を除き、ほぼすべてがワンルーム。
レースカーテンによって、やんわりと空間が仕切られ、完全に区切らないことで、人の気配や光が連続していきます。
この感覚も、aisuの家づくりに通じるものを感じます。

キッチンは、外を向いて作業ができる配置。
視線が抜け、自然を感じながら料理ができる、とても気持ちのいい場所でした。

大きな開口部には、しっかりとした庇がかかっています。
軒の出は1.5メートル。
この深い軒のおかげで、夏の強い日差しや雨から木製サッシが守られ、建物の耐久性にも大きく寄与しています。

外壁には、屋久島杉の無塗装材が使われています。
時間とともに風化し、やがてグレーへと変化していく。

その変化を楽しむ建物です。

一軒一軒が主張しすぎることなく、けれど確かに個性を持ち、集まって一つの風景をつくっている。
「一軒だけではない暮らし方」が、ここにはあります。

自分の城を持ちながら、地域とどう関わっていくのか。
そのバランスをどうつくるのか。

sun-kyo」が、理想郷なのかどうかは、正直わかりません。
誰にとっても正解な形ではないと思います。

それでも、
この場所には、その問いに対する一つの具体的な答えが、かたちとして存在しています。
それは、大切なことだと感じました。

自分の城を大切にしながら、どう地域にひらくのか。
その在り方を、これからも考え続けていきたいと思います。


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