折々ギャラリーさんのルイスポールセンのライティングレッスンに参加しました。
日本と北欧の照明文化には、大きな相違があります。
でも、ぼく自身、なぜそんな違いがあるのかを深く掘り下げて考えたことはありませんでした。
今回、ライティングレッスンに参加して、少し視界が晴れた気がします。
暮らしをつくろう。大切な人との時間を豊かに。
4代目の新野恵一(にいのけいいち)です。
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ルイスポールセンの照明哲学を学ぶ。
ルイスポールセンは、デンマーク・コペンハーゲンに本社を置く照明ブランドです。
折々ギャラリーさんでは、北欧の家具や照明器具を扱っており、
今回は一般のお客様に混じって、ルイスポールセンの照明の考え方や商品について学ぶ機会がありました。
ルイスポールセンの照明のポイント(要約)
- 「眩しさを抑え、心地よい光で空間をつくる」
- グレアフリー(眩しさのない光)を徹底追求
- シェードや反射を活かし、やわらかな光を導く
- 明るさよりも、光と影のコントラストを大切に
- 人の近くに光を置くことで、居心地の良い空間を演出
- 空間を照らすのではなく、空間をつくる光を届ける
ルイスポールセンの中村さんに、丁寧に教えていただきました。

左は、orioriギャラリーの伊藤さん。右が、ルイスポールセンの中村さんです。貴重な時間をありがとうございます。
入政建築の照明の考え方
入政建築では、「必要な場所に、必要なライトを」 という基本スタンスで照明計画を行っています。
- 作業をする場所は、しっかり明るく。
- 反対に、リビングやダイニングなど、くつろぐ場所は、あえて少し暗めに。
これは、単に「省エネ」という話ではなく、夜をどう楽しむかという価値観に根ざしています。
「夜を楽しむ」ってなんだろう?
「夜を楽しむ」という言葉に改めて向き合ってみました。
これまでぼくは、「夜が長い北欧だからこそ、照明文化が発達した」と思っていました。
でも、実はそれ以上に、「夜が短い夏」こそが、照明文化の鍵だったのでは?と感じたのです。
緯度が生む「夕刻の時間」
ルイスポールセンの本拠地・コペンハーゲンは、北緯55.7°。
札幌(43.1°)よりも約12度も北にあります。
緯度が高いほど、
- 夏は日が長く
- 冬は日が短くなります。
実際に比べてみると…
コペンハーゲンの昼夜の差
- 夏至:日の出4:25/日の入り22:00(夜:約6.5時間)
- 冬至:日の出8:40/日の入り15:40(夜:約17時間)
👉 昼夜の差:約11時間
一方、東京の夏至と冬至の差は、約5時間程度です。
光に求めるものの違い
この昼夜のリズムの違いが、照明文化の違いに表れているのだと感じました。
日本では、「明るい=良いこと」という価値観が根強くあります。
これは、夜の長さの差が小さい日本だからこそ、光への憧れが強いのではないかと想像しました。
一方、コペンハーゲンでは、夜を無理に明るくしようとはしていないように思います。
彼らが求めているのは、夜の明るさではなく「夕刻の心地よさ」。
そして、夕方から夜へ移り変わる時間をどう楽しむか。
長く続く夕方の時間
コペンハーゲンの夏の夕方は、とても長いです。
6月に行ったイギリス・パリの視察でも、夜10時になっても空はほんのり明るいままでした。

ここは、パリ。20時でまだここまで明るいのです。
この「なかなか夜にならない時間」をどう楽しむか。だから、過度に明るくするのではなく、落ち着いたコントラストある光を求める。
つまり、「夜を楽しむ」とは、「夜の長さ」だけでなく、
「夕方から夜へ変わる、あの美しい時間」を楽しむこと。
それが、北欧の照明文化の原点なのではないかと今回のレッスンを受けて感じたのです。
照明が生まれて、まだ145年
白熱電球が発明されたのは、1879年。
たった145年前のことです。
それなのに、日本と北欧では、照明に対する価値観が大きく違う。
この背景には、夜の長さの違いが大きく関係しているんじゃないでしょうか。
「夕刻をどう楽しむのか。」暮らしの哲学みたいなものがあるのではないかと強く感じました。
欲張りな照明計画を、あえて。
ぼくたちの照明計画は、日本と北欧の「いいとこどり」です。
- 作業性の高い「明るさ」
- 心地よく過ごす「夜の楽しみ」
どちらも大切にしたい。
そんな欲張りな照明計画を、日々実行しています。

aisuの家で体感を

このダイニングに吊っているペンダントライトは、ルイスポールセンのラジオハウスペンダント。
手前の収納スペースには、作業しやすいよう明るい照明を設置しています。
「明るさ」だけじゃない、「夜の楽しみ」を日常に取り入れると、暮らしはもっと豊かになる。
そう思っています。
次回の土日も、「aisuの家」オープンイベントを開催します。
(*~7/20まで限定のaisuの家モデルハウスです!)
実際の空間に立って、照明のあり方を体感していただけます。
17時まで開催しています。
暮らしの理想ってなんだろう?
ジブンらしいってどんなことだろう?
そんな問いを一緒に考える、きっかけになれたら嬉しいです。
お待ちしています!
