最近、SNSや雑誌でよく見かける言葉
「ホテルライクな家」「かっこいい家」。
たしかに、無駄がなくて照明や素材も上質で、非日常を味わえるような空間は魅力的です。
でも、その家に“暮らす”ということを考えたとき、疑問が湧いてきます。
暮らしをつくろう。大切な人との時間を豊かに。
4代目の新野恵一(にいのけいいち)です。
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ホテルは「旅の途中の特別な体験」
ホテルという空間は、言ってみれば「非日常」を味わう場所。
外部環境を切り離して、人工的な心地よさを演出しています。
空調で室温は一定、照明も計算され、自然の変化は、窓の外の景色で感じる程度。
それって、本当に“豊かな暮らし”といえるのでしょうか。
心地よさは、自然との関わりの中にある
人間が本当に「気持ちいい」と感じるのは、自然に触れたときではないでしょうか。
風を感じる。
太陽の光を浴びる。
雨の音に耳を澄ませる。
そんな、外との関わりの中にこそ、
楽しさや心の平安があると思うのです。
自然を完全にシャットアウトして人工的にコントロールされた空間は、たしかに快適です。
そこに長くいると、なぜか心が動かない。
人工的にできたツルツルの建材。
見た目はキレイでも、触ってみようとは思わないし、
深く息を吸い込んで匂いを感じたいとは思えない。
本当に心地よい空間って、「つい触れてみたくなる」「深呼吸したくなる」そんな、五感に関与する空間なんじゃないかと思うのです。
どこに「家」を持つかを選べる時代
今は、どこにいても仕事ができる時代。
どこに「家」を構えるかは、自分で自由に選べるようになっています。
だからこそ、ジブンの家は、その土地の自然とつながっていてほしい。
「ここが自分の居場所だなぁ」と思えるような空間。自然の気配を感じながら、心からくつろげる場所。

グローバル時代だからこそ、地域の自然が際立つ
グローバルに開かれれば開かれるほど、その土地の風土や気候は、“特別なもの”として際立ってきます。
実際、海外の人たちは、ぼくたちの暮らすこの環境を「素晴らしいね」と言ってくれます。
そして、ぼくたちも
たとえば北欧や南の島々に行けば、「なんて豊かな自然なんだ」と感動しますよね。
でも、その一方で、自分たちの足元にある自然には、どこか“当たり前”のような感覚で目を向けなくなってしまう。
もし、その自然に背を向けて、光や風を遮断し、閉ざされた家で暮らしていたとしたら。
せっかくの“豊かさの源”を、自分たちで手放してしまっているのかもしれません。

自然を肌で感じる暮らしを
自然を受け入れて暮らすことは、多少の不便や、変化への順応が必要になるかもしれません。
でも、そこには「人間らしい感覚」や、「その土地にしかない自然(環境)」があります。
季節を味わい、外の気配とともに暮らす。
それは、人工的に整えられた完璧な空間では得られない「豊かさ」だと思うのです。
自然を感じる暮らしは、風に気づいたり、朝の光に心が動いたり、
そんな、何気ない感覚を大切にすることだと思います。
どこに家を構えるか、どんな空間で暮らすか。その選択の先には、誰と、どんな時間を過ごすかがつながっています。
大切な人と、大切な時間を過ごす場所が、家であってほしい。
その場所が、自然とともにある空間であれば、きっと、そこに流れる時間もやさしく、あたたかいものになるはずです。