先日、orioriさんで開催されたフリッツ・ハンセン・ジャパン代表の鈴木さんによるトークイベントに参加しました。
デンマークデザインの真髄に触れる、貴重な時間でした。
暮らしをつくろう。大切な人との時間を豊かに。
4代目の新野恵一(にいのけいいち)です。
(*タグで絞り込み→「4代目」を選択すれば、ブログがのぞけます。)
ポール・ケアホルムというデザイナー
ポール・ケアホルム(Poul Kjærholm, 1929–1980)は、デンマークモダンを代表する家具デザイナー。
木ではなく、スチールという素材で詩的な造形を生み出した天才です。
彼の作品には、「PK20」のように、自身のイニシャルと番号がつけられています。
(*PK20は、トップ画像で使っているものです)

この潔い名づけ方にも、ケアホルムらしい理性と構築美を感じます。
若き日の傑作と普遍性
名作「PK25」は、デンマーク美術工芸学校の卒業制作でデザインしたもの。。。。

*一番右側に鎮座しているのが、PK25!
若すぎる!と驚くと同時に、その完成度と構築力に圧倒されました。
しかもそのデザインが、今も現行モデルとして販売されているのです。
これほどまでに普遍的で、時代を超えて愛される形は、そう多くありません。
家具であり、建築である
実物を前にして感じたのは、ケアホルムの家具が建築的だということ。(家具の建築家といわれる所以)
金属の加工は驚くほど精緻。

異素材がくっつく部分が、こんな感じでくっついている。

この黒い点のような部材は、PKオリジナル共通部材と聞いて驚きました。

ふと、師である、秋山先生の言葉がよぎります。
「ものとものがぶつかる部分をデザインするのが、建築だよ。」
ケアホルムの家具は、まさにその哲学を体現しているようでした。
構造の一部を見せながらも、無駄がなく、機能と美が共存している。
共通部材を使いながら多様な表現を生み出す点も、建築的な思考そのものです。
建築に通じる思考
ぼくたちの建物にも、いくつかの共通部材があります。
それを組み合わせて、一つの建築をつくっていく。
部材は、部材として見せる。
一つの部材は、一つの機能。
その機能が折り重なって、くっつき、一つのかたちをつくります。
「くっつける」ことが、そのまま形となって現れ、機能美としてみえる。
そんな建物が素敵に見えるんですよね♡
家具であっても、建築であっても、
ものとものとを「くっつける」という行為こそが、ものづくりの本質なのだと感じました。

*右が、orioriギャラリー代表の伊藤さん。左が、フリッツ・ハンセン・ジャパン代表の鈴木さん。
短い時間でしたが、ポール・ケアホルムに魅了されました。
お時間あれば、orioriギャラリーさんにも是非遊びに行ってみてください。
貴重な機会をありがとうございました。